羽根が 視界に入った

バサリと独特の羽根音がしたので ほぼ反射的に上を見上げた
見上げた先には 真っ白の羽根
仲間内に居た 白鷺にも負けないぐらいの 白さ
陽に透けると透明ともみえるような それの主は満面の笑みを浮かべておりてきた

「アイクさん!」

子供特有の 高めの声が耳に届く
愛用のラグネルを鞘に収め 自然と手が伸びた
受け止める必要もないとわかっていても 何故か手を伸ばし 彼を受け止める
そういえば 白鷺の姫もこんな感じだったかな・と 思い出した
茶色の髪の合い間から 金の飾りが跳ねる
天使と 彼は確か言っていただろうか

「どうした?ピット」

赤子をあやすように 抱き上げてえれば どこか不満げな面持ちになる
それが何故かわからず とりあえず 下におろした
身長の関係で 彼が見上げるようになる
こうしてみていると 妹や砂漠で会った赤髪の少年や 船で会った緑の髪の少年を思い出す
くしゃりと 頭を撫でてみる
ああ そうだ よく似ている

「アイクさん」
「なんだ?」
「訓練してるんじゃなかったんですか?」
「ああ リンクが急遽乱闘に召集されてな」

また今度になった
本来ならこの時間帯は リンクと手合わせをしている筈だった
それなのに 急遽彼が招集されたので 流れた
また今度・と 約束はしたが また流されそうな気もする
仕方が無いので 素振りをしていた所に 件の彼が来たわけだ

「たまには休まないと駄目ですよ」

ぷい・と 視線を外されて言われた
不満げに 何処か納得いかないかのような 表情と声
そこまで疲弊するほど鍛錬はしていないが・と思いつつ 小首を傾げる
己のことなのに 何故他人である彼がそこまで気を使うのだろうか
少々 思案していると 不意に三者が現れた

「ピットは心配してるんだよ アイク」
「マルス…」
「マルスさん!」

肩にはピカチュウが乗っている
いい距離まで近づいてきたら ピカチュウが飛び乗ってきた
最近は頭の上が定位置らしく そこへ登られる
ピカチュウだけじゃない カービィだってそうだ
何故か 頭の上に乗られる
そんなピカチュウが落ちないように支えつつ 当のマルスへ視線を移した
何処か 満足そうに笑っている彼が目に入った

「あんまり追い込みすぎてると 倒れるよ?」
「そこまでやわじゃない」
「そうだと思うけど たまにはゆっくり休むのも大切だよ」
「…そうか?」
「そうですよ!」
「ピカピ!」

一斉に賛同されては 何も言えなくなる
マルスが 半身を返して 言う

「みんなでお茶でもしようか って話してたんだ どう?」
「アイクさんもたまには一緒にしませんか?」

マルスとピットに加え 頭上のピカチュウも誘っている
…なんだ この連携は 支援でも組んでるのか?
そうこう迷っているうちに ピットに手を引かれる

「いきましょう!アイクさん」
「…ああ」


その日の午後は珍しく テラスにてお茶を楽しむ面々が見られた

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団長の頭上はある意味定位置だと信じてる。
天使→団長で。ちょっと子ども扱いに不満気な天使と気付かない団長。



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